2017年05月27日

たかが世界の終わり

 このやりきれなさ救いのなさを一瞬たりとも厭わせずどころか絶えず目を惹き付けられずにいられないいいようのない魅力は脚本演出の力もあるのでしょうけれどやはり演者の底力みたようなものが大きいとしかおもわれず、激しく執拗な罵倒や皮肉や愚痴や懇願はそのエネルギー愛でしょ他にはなにもないでしょ、の説得力そして哀しみせつなさ虚しい脱力感あげくのなぜか安堵の余韻。
 誰もわかってない、あるいは誰もがわかってる、どちらも信じられる無限にほとばしるいきおいの言葉のみずみずしさ、いったいどこへ向かってゆくのか、と膝をのりだし見守っているうち、なにか腑に落ちた気になってしまう終盤は、家族を愛することの逃れようない刺すような痛みがつたわってきて、暗黙の了解がそこにあったのかどうか、あったような気配、言葉を超えた交感がたしかにあったように揺さぶられるほど感じたのだけれど。
 それにしてもギャガの宣伝文句にはどうも理解しがたく感じることがよくあるのですが、そんなあらすじの説明ってまあたしかに親切なんでしょうけれど作品でははっきりひとっことも言っていないのに、観客を舐めてるような気がいくらかやはりしないでもない。
 ともあれ演者の誰ものハマりぶりが相当にすごい、よくぞ。
 なんか舞台劇ぽいな。そうだった。

たかが世界の終わり

 シネプラザサントムーンにて2017年5月

 たかが世界の終わり 公式ホームページ


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