シシシシシネマ

　予告編でじゅうぶん胸高鳴る華やかさでしたものね、パンチきいたっぽいリズムも楽しくハイウェイの場面なんて圧巻、というところで期待に胸膨らませての視聴になるわけなのだけれど、意外に歌って踊っての場面はそれほど盛りだくさんでもなく案外おちついて揺れていたりせつなかったり、メリハリきいた物語の展開はわかりやすく伝わってきたけれど、王道のミュージカルとはすこしずれた哀愁が、それをはずんで踊って歌ってのオンパレードで目一杯表現されるラスト、余韻がね、視線の交感がね。
　たくさんの名作のミックスがなされてた気配、映画に対する愛情リスペクトってこういうの感じられてあたたかな気持ちになります、群衆のなかに思いがけずひとりまぎれている、その見つめ合いが、やっぱりどうしてもアン王女の場面を想起させて、せつなさがふくらむふくらむ。


　シネプラザサントムーンにて２０１７年３月

　ラ・ラ・ランド　公式ホームページ